アピトンとは
アピトン (Apitong)
南洋材(アジアの南方地域、すなわち、インド、インドシナ半島、インドネシア、フィリピンにかけて産出する木材)の一種 フタバガキ科のDipterocarpusに属する
インド、セイロンからビルマ、タイなどを経てインドシナ、フィリピン、スマトラ、ボルネオ、バリに及んで分布しており、その種の数は76種を数えるとされている。この属の木材を産する地域では、最も有用な市場材として用いられ、輸出量も多く、この科の木材のうち、ラワン、メランチ類と並んで代表的な木材といえる。したがって、産地に応じて多くの市場名が存在している。
代表的な市場名
・アピトン(Apitong):フィリピン
・クルイン(Keruing):インドネシア、マラヤ、サラワク
・チュテール(Chhoeuteal):カンボジア
・ヤン(Yang):タイ
・ガージュン(Gurjun):インド、ミャンマー、バングラデシュ
・ヤウ(Dau):ベトナム
種類が多いこと、インドからバリにいたる広い分布地域をもっていることからその生育環境の違いに基づく材質的な変異の幅はかなり広いことでも知られている。また、同じ地域に分布するものでも、乾燥地に生育するもの、水分の多い所に生育するものなどがあり、それによる材質の差も認められている。
アピトンの性質
辺材の色調は淡黄白色ないしやや赤褐色を帯びたりするが、長期間大気にさらされると灰褐色を帯びるようになる 心材は灰赤褐色ないし赤褐色を示すが、長期間大気にさらされるとかなり濃色を帯びるようになる。この属の木材はその色調が特に美しいものとはいえない。
生材の場合、丸太の横断面から透明の樹脂がにじみでてきて、断面を被覆してしまうことがある。とくにこれは辺材部に著しい。この類の木材の特徴は、軸方向細胞間道(樹脂道)が散在ないし短い円弧状を示すことで、これにより長く同心円状に配列する軸方向細胞間道(樹脂道)をもつラワン、メランチ類、カプール類などから区別される。この樹脂道の中には透明ないし濃色の樹脂を含み、しばしば乾燥中に表面ににじみ出てくる。この樹脂の現れ方についても、樹種による差があるといわれている。
肌目は粗く、木理は通直ないし、やや浅く交錯する。耐久性は比較的高く、重硬な性質をもつ。水、湿気にも強いが、防腐剤の注入も容易にできる
曲げ強度 (kg/cm2) |
圧縮強度 (kg/cm2) |
比重(乾燥) | 比重(生木) |
1244 | 704 | 0.8 | 1.2 |
アピトンの用途
とくに装飾的でないような、また、接地したりするような用途でなければ、いろいろの重構造物用に用いられる。防腐剤を注入すれば、接地する用途にも用いられる。
(使用例)
土台、柱、梁、羽目板、水廻り場所の床板、屋外のデッキ
トラックの車両用材、緩衝材、合板用原木
防腐処理をして、枕木、埠頭、橋などに用いられる